地域と都市をつなぐ“共創型流通”の新しい形・・・

東京証券取引所グロース市場上場の「タカヨシホールディングス」、事務機器の販売を行う髙芳商事として創業したが、その後、ホームセンター「ファミリーセンタータカヨシ」を直営およびフランチャイズで展開するなど10を超える小売関連事業に参入・撤退を繰り返す中で、2000年に自社が運営するHCの一角で農産物直売所事業をスタートした。09年に「わくわく広場」の屋号で出店を開始して以降は一気に成長軌道に乗り上場、24年9月期の営業収益(連結)は78億円(対前期比9.1%増)で過去最高を更新している。

▼このタカヨシホールディングスが展開する「わくわく広場」が、「Diamond Chain Store」誌や「日経MJ」紙に掲載されるなど注目が集まっている。農家や飲食店が自ら商品を出品できる都市型産直販売所である。全国で約180店舗を展開、登録生産者3万件超を抱える。モデルは「場の提供型」を採用し、販売・清掃・レジ業務を担う一方、商品構成や価格は生産者に委ねる「実店舗のアマゾン」とも呼ばれる仕組みだ。

▼特徴は、① 自由度の高い出品環境、② リアルタイムの販売データの共有、③ 都市近郊物流の仕組みにある。生産者は登録料なしで出品し、15分単位で更新される販売情報をスマホで確認できる。商品は農産物から総菜・弁当・花まで多様で、購入者から直接の反応も得られる。品質規格に縛られない販売が可能なため、千葉県旭市の農家では、出品後に売上が5割増になり、別の飲食業者も弁当販売で月商550万円を記録するなどしている。

▼現在、都心型の小型店舗を重点化し、商圏1~2万人規模で食品スーパーの隣接立地を理想としてする。出店コストは低く、撤退のリスクも少ないが、それでも品揃え面や欠品対応の課題もある。その為、今期は18店を閉鎖しているが、小型店モデルで営業利益を上方修正し1000店の出店を目指している。① 地域生産者の販路多様化、② 都市生活者との直接交流、③ 低投資型ローカルビジネスの成立の意義、加えて、デジタルと物流の融合が地域流通の持続性を支える重要要素であることも浮き彫りにしている。今後の地域経済と食品小売の関係性を考える上でのモデルのひとつになるだろう。

2025/11/04