日経BP社のアワード「マーケター・オブ・ザ・イヤー2025」受賞企業(受賞対象は個人だが)に、過疎地に新たなライフラインを・・・の願いから「地域共生コンビニ」を展開させたローソンがある。山梨県道志村(人口約1500人)のような買い物困難地域に、ローソンが進める「地域共生コンビニ」が注目を集めている。人口減や高齢化でスーパーや生鮮店が撤退した地域に、自治体や住民と連携して出店するもので、和歌山県龍神村の店舗では冷凍食品売上が平均の4倍、生鮮は5倍に達した。
▼受賞者の髙橋忠男氏(ローソン開発本部長)は、過疎地出店を「地域貢献」と「新市場開拓」の両立と位置づける。都市部の出店余地が減る中、地方にファンを増やすことでブランド愛着を育て、将来的な支持基盤とする狙いだ。ただし「出店して撤退すれば信頼を失う」とし、商圏調査や自治体ヒアリングを徹底。事業として継続可能な地域に絞って出店している。この地域共生モデルを支えるのは次の三つの仕組みである。
▼第一に、KDDIの位置情報データを活用した出店精度の向上。従来のGISに加え「KDDI Location Analyzer」で来店データを分析し、予測の精度を高めている。現場担当者や地元オーナーの判断も重ね、データと実感を融合した出店判断を行う。第二に、店舗レイアウトと調理機能の革新。店内調理サービス「まちかど厨房」を備え、弁当や総菜を現地で調理。物流遮断時にも供給できるよう、倉庫を通常の約3倍に拡張し、冷凍庫や保管庫を増設した。これにより「物流が止まるから出店しない」から「止まっても営業できる」への発想転換が進んだ。
▼第三に、小規模・多機能店舗としての強み。スーパーより少ない商圏人口でも成り立ち、「Loppi」(ローソンの店頭に設置してあるマルチメディア端末)やATM、郵便ポストなど多機能サービスが地域生活を支える。週ごとの新商品入荷で来店頻度も維持し、スタッフとの会話から地場ニーズを反映した品揃えを実現。高齢者には紙チラシを活用し、デジタル弱者への配慮も行う。さらに地元野菜や特産品を並べ、「道の駅」のような魅力を付加。雇用も生み、住民が“顔なじみ”と触れ合う温かい拠点となっている。ローソンの地域共生コンビニは、採算性と社会性を両立させた新たな地方ビジネスモデルとして、過疎地の暮らしを支える存在へ進化している。食品スーパーでも展開の可能性を探る必要がありそうだ。
2025/11/10
