―なぜいま「世界標準の経営理論」が必要なのか― ⑥

「未来を見通すために『思考の軸』を持て」 6回
― “スマイルカーブ”時代の中間管理職像 ―
AIの進化によって、仕事の在り方が大きく変わろうとしている。これからの時代に問われるのは、「AIに代わるのではなく、AIとどう共存するか」。特に中間管理職にとって、この問いは避けて通れない課題だ。

■「スマイルカーブ現象」とは何か
経営コンサルタントが指摘するように、AI時代の働き方には「スマイルカーブ現象」が起きている。仕事を「上流・中流・下流」に分けると、価値が大きく変わり始めているのだ。
上流の仕事:経営方針を決める、戦略を考える、意思決定を行う。
中流の仕事:情報を整理し、調整・伝達する。
下流の仕事:現場で実行し、顧客と直接関わる。
このうち、AIが最も得意なのは「中流の仕事」になる。データ整理や報告資料の作成、進捗管理など、ルールが明確な仕事はAIが正確に代替できる。つまり、これまで“中間管理職の中心”だった仕事が、まさにAIに置き換えられつつあることになる。

■では、管理職の存在価値はどこにあるのか
それでも、AIには決してできない仕事がある。それは、人と人をつなぎ、「意味づけ」と「納得感」を生み出す仕事がそうだ。
① 知の探索を促す
AIが扱えるのは、すでに存在する知識(過去のデータ)だけ、新しい価値を見つける「探索」は、人にしかできない。管理職は、チームに問いを投げ、異なる視点を結びつける役割を担う。
② 意思決定の責任を引き受ける
AIには提案はできても、責任は取れない。最終的な判断とその結果への責任を負うのは、常に人間。「自分で決める」覚悟が、管理職の本質的な価値になる。
③ 組織を“納得で動かす”
センスメイキングの理論にあるように、組織を本気で動かすのは「腹落ち」。データや命令ではなく、“なぜそれをやるのか”を語り、共感を生むことだ。

■上流と下流が輝く時代
AIに代替されにくいのが、創造的な上流の仕事と、人と向き合う下流の仕事になる。上流では、戦略やビジョンを描く「思考の力」。下流では、顧客や現場のリアルを感じ取る「共感の力」。この2つをつなぐ“翻訳者”こそ、これからの中間管理職になる。経営の意図を現場に伝え、現場の声を経営に届ける。その対話の中で、組織の「知」を循環させる役割が求められている。

▼AIが進化するほど、人の仕事の価値は「思考」と「意味づけ」に移るのだ。だからこそ、管理職には次の3つの力が欠かせなくなる。
① 探索する力 ― 正解のない課題に挑む勇気
② 納得を生む力 ― 人を共感で動かすリーダーシップ
③ 言葉化する力 ― 経験を共有し、文化に変える力
この3つを支えるのが、「世界標準の経営理論」という思考の軸になる。理論を知ることは、“未来を考える言語”を身につけること。AIに任せられない“人間らしい知性”を磨くことにほかならない。AIがすべてを処理する時代にこそ、「考える」「語る」「つなぐ」力を持つ管理職が、組織の未来をつくるのだ。世界標準の経営理論は、そのための“共通言語”であり、あなたのチームの“知の羅針盤”になるはずと著者 入山 章栄氏は語っている。少しずつ読み解いてみたい。

2025/11/16