(昨日からのつづき)おせちを例年通り用意する中心は50~60歳代。「お正月を大事にしたい」「おせちは欠かせない」と考える一方で、「準備が大変」「手間がかかる」とも感じている。この層には、手間を軽減しながら“ハレの日らしさ”を演出する売場づくりが重要になる。20~30歳代の若年層は、外食や旅行にお金を使う傾向が強く、おせちを用意しない層が多い。しかし「紀文」の調査では、この世代も「おせちにポジティブな意識」を持っている。「子どもに伝えたい」「SNSに上げたい」「家族に褒められたい」が購買に転化する可能性が高いのだ。
▼若年層の“おせち回帰”を促すカギは「思い出づくり」と「体験」だ。前述の紀文が行ったイベント実施調査では、家庭行事の実施率第1位が「家族の誕生日」(76.0%)、第2位が「おせちを食べた」(68.0%)とある。おせちは家族の絆を再確認する“体験型イベント”になりうるのだ。売場づくりでは「おせちは伝統食」ではなく、「家族で楽しむ思い出コンテンツ」として再定義する発想が求められそうだ。
▼近年、おせちの予約や購入は年々早まっているが、Googleトレンドによると、「おせち」「旅行 年末年始」といった検索が急増するのは11月なので、11月15日「蒲鉾の日」を皮切りに、黒豆・甘露煮など常温商品を中心に正月売場を意識させるのが良い。本商戦が本格化するのは12月20日からの週末になるが、25年はカレンダーの並びがよく、26日から9連休となる企業が多いため、27~28日の週末が重要だ。売場は「11月中旬に仕掛け開始」「12月20日週に全館演出」「27・28日にピーク売場」といったリズムを意識したい。
▼おせち商戦を惣菜・鮮魚・青果・日配・グロサリーなど全売場の「共通テーマ」にし、館全体で「正月を祝う雰囲気」を演出することが重要だが、若年層ファミリーが増えている地域では、“親子の会話が生まれる売場”を意識したい。おせちはもはや伝統行事だけでなく、家族をつなぐ“思い出の食卓”なのだ。ネットやカタログでは再現できない“店頭の温かみ”こそ、リアル店舗の最大の強み。「おせちは伝統から、家族の思い出コンテンツへ」──今年の正月商戦は、その変化を自店の強みに変える絶好のチャンスになる。
2025/11/21
