「しまむら」も小商圏、地域密着モデル・・・

衣料チェーンの「しまむら」は、今年2月期の業績が売上高6653億円、営業利益592億円、純利益418億円と過去最高を更新した。特に純利益は4年連続で最高益となった。「ファッションセンターしまむら」が牽引役で、既存店売上高は4.3%増。価格帯の高い「CLOSSHI PREMIUM」などPB商品やJB(共同開発)商品が伸長し、客単価を押し上げている。ただ、好調の本質は数字以上に、「半径2km・約1万5000世帯」という小商圏前提の地域密着モデルにある。

▼客単価は約3000円だが、週2〜3回通う顧客も多く、頻度で売上を稼ぐ。ECでも約8割が「店舗受け取り」を選び、その4割が追加購入することで客単価を高めている。これらのポイントは「来るたび新しい発見がある」売場づくりである。1店舗約4万点の品揃えだが、小ロット・高頻度で商品を回転をさせる。同じエリアで同じ服をかぶりたくない心理に配慮しつつ、色・サイズは展開しながらも1品1点主義を徹底する。大量展開型のSPAとは対照的なやり方を採っている。

▼この“鮮度”が、「しまパト(しまむらパトロール)」という消費者発の行動を生んだ。SNS上では「#しまパト」で商品情報が共有され、キャラクターやインフルエンサーとのコラボ商品が話題化する。今後の伸びしろとして重視するのが「客数」になる。年間数回の「超サプライズセール」など大型イベントで新規来店を促す。しかも、小商圏でも利益を出せるのは、標準化されたローコスト運営があるからだ。陳列、接客、在庫管理、発注までマニュアル化しつつ、現場から月500件超の改善提案を吸い上げて常に更新しているのだ。

▼根底には「社員にとっていい会社になろう」という経営方針がある。スタッフの多くは地元在住で、顧客と同じ生活圏にいるからこそ細かなニーズに気付きやすい。さらに、高齢者施設への出張販売「しまサポ」、店舗貸し切りの買い物ツアー、能登半島地震での送迎支援など、日常から非常時まで地域インフラとして機能している。小商圏モデルとローコスト運営、消費者発の「しまパト文化」、そして社員を起点とする地域密着を組み合わせることで、人口減・地方厳境下でも成長を続ける経営は食品スーパーにも参考になりそうだ。

2025/12/02