「勝利至上主義」から「成長至上主義へ」の指導・・・

ある食品スーパーの社内報を頂いた。そこに店長教育時に、2023年の全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)で見事107年ぶりの優勝を果たした慶應義塾高校野球部監督・森林貴彦氏の講演録が掲載されていた。森林氏は、「勝利至上主義から成長至上主義へ」という考えのもと、「チームづくり、人づくり」のテーマで話されており、チームマネジメントやメンバーとのコミュニケ—ション、さらに自己の成長に関する内容で主体であったので報告したい。

▼森林貴彦監督は、慶應高校野球部監督であり幼稚舎(小学校)教員でもある、全国的にも珍しい「教師兼監督」として、高校野球の常識を変えたいという使命感で現在の役割を担っている。掲げる目標は「KEIO日本一」。技術と人間性の両面でナンバーワンを目指すと同時に、「常識を覆すオンリーワンのチーム」になることという。スローガン「Enjoy Baseball」は、単に楽しくやることではなく、「より上手く」「より強く」「より高いステージを目指す」こと自体を楽しむ姿勢だと定義されている。

▼甲子園決勝という最高の舞台に至るまでの地道な練習、試行錯誤、けがと紙一重のトレーニングも含めて楽しむのが本当の“エンジョイ”だと強調するが、こうした考え方は、高校野球に根強く残る「勝利至上主義」との闘いでもあるようだ。育成年代の子どもに「ミスは許されない」「負けたら全て終わり」という価値観を押しつける事への違和感、勝つためなら手段を選ばない風潮、同調圧力や主従関係、上意下達といった旧来的な体質をどう壊すかが、自分たちの野球の命題だと言う。

▼人生百年時代の18歳を送り出す立場として、「尊重・覚悟・勇気」「レジリエンス」「インテグリティ」「自分で考える習性」「多様性」といった資質をこそ身につけて欲しい。「野球選手を育てる」のではなく、「野球を通じて人を育てている」という意識で指導していると述べる。そこで重要になるのが「成長至上主義」になる。「勝利至上主義」では勝ち負けという結果だけにスポットライ卜が当たってしまう。勿論、それも大事な事だが、結果を出すためにはそこにいるメンバー一人ひとりに生き生きと働いてもらわないといけない。一人ひとりの成長が不可欠なのだ。(つづく)

2025/12/4