トライアル側は統合後の重点として既存店改革、出店、収益性、リテールメディアを掲げている。食品スーパーの競争が「価格・鮮度・接客」だけでなく、データ収益(広告・販促の再設計)まで含む総力戦に近づいた。首都圏の“価格の基準点”が下がる可能性がある。メーカーサイドは「量×データ」への期待が増え、条件交渉や販促投資配分が変わるのではないか。競争軸が「安さ」だけでなく、既存店の生産性(省人化など)に移り、企業の体力差が出やすいのではないか。
▼象徴的な再編その2は、「セブン&アイHDのヨークHD(イトーヨーカ堂、ヨークベニマル、専門店など)の切り離し」だ。9月1日、ベインキャピタルが、セブン&アイ傘下のヨークHDの承継取引を完了したと発表。売却価格は約8,100億円規模、完了後もセブン&アイが35.07%を保有し関係継続すると報道された。イトーヨーカ堂に関しては「食品スーパーに集中」など食品主体化が進む流れだ。GMSの競争相手が「同業」ではなく、投資ファンドが本格的に入り、資本が設計する“再生モデルになると店舗・不動産・人員・MDの再設計など動きが速くなりやすい。再成長に向けた攻めのテコ入れが強まると、商圏競争が「現状維持」ではなく、顧客の奪い合い(店舗改装・価格・品揃え再構築)へと激化が予想される。
▼象徴的な再編その3は、「ドラッグストアの巨大化が、食品の競争地図を変える動き」だ。12月1日に「ツルハHD」を親会社として、「ウエルシアHD」が完全子会社化され、売上高2兆円超の日本最大級ドラッグストアが成立した。食品スーパーにとって、ドラッグストアは“隣接業態”ではなく、最大級の食品競合インフラになる。ドラッグによる“食品スーパー買収”も活発になっている。「クスリのアオキHD」は、香川県の食品スーパー「PiCASO」5店舗のミワ商店を子会社化、広報の開示資料では、グループ店舗網(ドラッグ+調剤+SM)も明記され、生鮮事業の強化が狙いとして読み取れる。
▼ドラッグの「食品」は2025年上期に前年比9.9%増で、ドラッグ販売額の約3分の1を占める、と経産省が報じている。ドラッグは「日用品・医薬」だけでなく、生鮮・惣菜の獲得にM&Aを使い始めているのだ。価格競争だけでなく、近さ(店舗網)×日常頻度×ついで買いで食品スーパーのバスケットを削りにくるため、SMは「生鮮の専門性」、「惣菜の食卓代替」、「ワンストップショッピング(まとめ買い)の価値」を再定義(コンセプト確立)する必要が出てきそうだ。(つづく)
2025/12/26
