(昨日からのつづき)アイデンティティと戦略 ― “らしさ”はなぜ組織行動を決定するのか
4.アイデンティティは「戦略の上位概念」である
多くの企業が戦略策定を行うとき、「市場構造」「競争環境」「顧客価値」などを分析する。もちろんこれらは重要だが、その前提にあるべき問いがある。それが「私たちは何を大切にし、どんな未来をつくりたい会社なのか」というアイデンティティの問いである。
アイデンティティが曖昧なまま戦略をつくると、
・事業間で一貫性がない
・メッセージが伝わらない
・社員が動かない
・“どれも正しいが腹落ちしない”戦略になる などの問題が起きる。
逆に、アイデンティティがクリアな組織は、戦略が自然と導かれる。「私たちの強みはこうで、だからこうするしかない」という状態になる。
5.アイデンティティは“行動の物語化”を可能にする
近年の組織心理学では、センスメイキング(Sensemaking:意味づけ)が重要視されている。人は、行動の理由がわからないと動けない。
そこで、「なぜこの事業をやるのか」「この挑戦は何につながるのか」を物語として説明する必要がある。この物語の“中心軸”になるのが、アイデンティティである。
・Appleは「世界を変えるクリエイティビティ」を信じている
・Amazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業」を掲げる
・Patagoniaは「地球を救う」という使命を抱く
物語が強い企業は、探索の苦しみを乗り越える力がある。
6.個人アイデンティティと組織アイデンティティの「同期」が鍵
社員の個人アイデンティティ(価値観・志向)が、組織アイデンティティと一致したとき、人は最も力を発揮する。
逆に不一致が強いと、
・離職
・意思決定の拒否
・モチベーション低下 などの問題が起こる。VUCAの時代、個人が自分の軸を持つことも重要であり、企業は社員のアイデンティティを理解し、共鳴点をつくらなければならない。
● 今週のまとめは、
・探索を支える基盤こそがアイデンティティ
・アイデンティティは戦略に先立つ“意思決定の背骨”
・両利きの経営の成否は「自己理解」に依存する
・個人と組織のアイデンティティの同期が組織行動を生む ということになる。
2025/12/28
