2025年の示唆、M&A/競合の質が変わる・・・③

象徴的な再編その4として「イオンの“グループ統治再設計”(食品の土台=不動産・施設機能を握り直す)」を挙げておきたい。今年2月末に「イオン」は、イオンモールの完全子会社化(株式交換)、イオンディライトの完全子会社化(TOB)を発表した。食品スーパーそのものの買収ではないが、食品の競争力を左右する立地(モール/SC)・施設運営・人材配置・投資判断を、より機動的にグループで最適化する布石のようだ。

▼代表的な「再編・競争地図(M&A/競合の質が変わる)」を見て来たが、これらから今後への影響を考えると、① 規模は“守り”ではなく「勝ち筋の選択肢」を増やすということだ。トライアル × 西友のように、規模が 価格・出店・データ収益を同時に動かすようになる。ただし規模だけでは勝てず、ここでも、“どの価値で勝つか”の集中(商圏 × 客層 × 食の役割)が前提になるはずだ。「全部勝つ」をやめ、商圏別に「まとめ買い価値(生鮮の質/惣菜の食卓代替)」で勝つのか、「近隣小型・即時性」にも寄せるのかを選ぶ必要がある。

▼また、② M&Aは「食品のケイパビリティ(企業が組織として持つ、他社には真似できない有意性のある総合的な組織能力・実行力)獲得」へ動き出したことだ。それは、生鮮・惣菜の強化、省人化やデータ活用になる。ドラッグが生鮮ノウハウを買いに来たのが象徴だ。食品スーパーも単に買う、買われるだけでなく、「物流、製造(惣菜)、IT/データ、人材(採用・教育)の“機能統合”」を設計できるかが焦点になるはずだ。そして、今後に向けてみるべきKPIを整理する必要がある。

▼足元では、食品スーパーは「1店当たり販売額」と「店舗数」双方が増加し、競争が量的にも質的にも拡大している。その中で③ 2026年に向けて見るべきKPIは、業態別販売(スーパー/ドラッグ/コンビニ)トレンドと、1店当たり売上・店舗数要因、商圏別の価格指数(主要カテゴリのEDLP化の進行)、生鮮・惣菜の内製比率、製造キャパ、欠品率、省人化投資(レジ・値付け・発注)と労働生産性、リテールメディア/会員基盤の収益化(広告・販促ROI)などが大事になってくると思える。

2025/12/29