食品スーパーの現場では、コスト・価格の上昇に対応する為には、何に注意して行動すべきかを考えたい。何が“難しく”なったかの示唆になるのだが、価格改定を「通す」だけでは勝てない。価格の“意味付け”が必要になる。値上げが広範囲で起きるほど、消費者は“価格そのもの”より“納得できる買い方”を求める。結果、PB・廉価品・特売への移動が加速する。課題は、単なる改定対応ではなく、価格体系(EDLP/HI&LO/プレミアム)の再設計と、バスケット当たり点数を守り、減らさないマーチャンダイジングを提案する必要がある。
▼こんな環境の下では、売上はあるのに儲からない構造になりがちなので、利益管理は「荒利率」より「荒利額 × 回転 × 点数」へ移す必要がある。単価上昇局面は一見売上が伸びるが、点数が落ちると関連購買が進まず、結果として荒利額の伸びが止まりやすいのだ。そこで、次の項目を例に討議して、値上げ常態化の中での対応を進める必要がありそうだ。
・値上げ局面で、当社は「荒利率」より「荒利額・客数・信頼」をどの順で守るか?
・値上げを“通す技術”(容量・等級・代替提案・惣菜化・メニュー提案)を、部門横断で設計できているか?
・コメ価高騰時に、主食(コメ)を「客数維持のKVI(卵・牛乳・食パン・鶏むね等)」として守るのか、「荒利確保」で取りに行くのか?
・原価上昇の波を前提に、価格改定オペ(棚札・POP・データ更新)の標準時間を短縮できているか?
▼本部が早急に対処したいことは、価格・販促の再設計(「守る商品」と「稼ぐ商品」を分ける)ことだ。それには
・価格イメージKVIと、コメ(基盤)を“守る領域”として定義
・“稼ぐ領域”は、惣菜・簡便・デザート・冷食・高付加価値青果などで荒利額を取りに行く設計
・重要:値上げ環境下ほど、HI&LOの「当てどころ」を絞らないと販促費だけが増える(点数が戻らない)
足元では深刻さは薄らいだが、「コメ」についての戦略(在庫・品揃え・提案)
・供給(欠品)リスク管理:週次の価格・販売量を追い、銘柄米・ブレンド米・小容量を含めて棚を設計(“買える安心”を優先)
・代替主食・関連購買の同時提案:麺・粉・冷凍米飯・惣菜主食化(丼・寿司・おにぎり)で“食卓コスト”を最適化
・値頃訴求の再定義:5kgの価格だけでなく「1食当たり」「1杯当たり」で伝える(4,000円台が続く前提でコミュニケーション設計)
▼これらの為に例えば次のような項目のモニタリング指標を決めることも重要になりそうだ。
・客当たり買上点数/点数前年差(“静かな不況”の早期警戒)
・PB構成比(数量・荒利額)と、NBの数量前年差
・コメ:価格×販売数量×欠品率(週次)
・販促ROI(販促費に対する荒利額回収)
2026/01/09
