2025年度の最低賃金は、全国加重平均1,121円(前年差+66円)で動き出した。都道府県により違いはあるが、10月以降に順次発効している。+66円は過去最大級の上げ幅であり、ここ5年間の推移でみても、令和3年930円(+28円)、〃4年961円(+31円)、〃5年1004円(+43円)、〃6年1055円(+51円)と毎年のように過去最高を更新してきている。最低賃金の最高は東京都で1226円、高知県・宮崎県・沖縄県が一番低いのだが、それでも1023円と企業にとって人件費上昇が構造化して来ている。
▼パート・アルバイト比率の高い食品スーパーは、最低賃金の上昇が「一部の時給」ではなく、採用時給の下限/既存時給の底上げ圧力として波及するので、固定費として定着し易いのだ。しかも、採用環境は引き続きタイトだ。厚労省の「一般職業紹介状況」で、令和7年11月の有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍で、前月と同水準。新規求人倍率は2.14倍で、0.02ポイント上昇している。正社員有効求人倍率は0.98倍(前月0.01ポイント減)、有効求人数は前月に比べ0.4%減、有効求職者は0.3%減となり、新規求人数は前年同月比10.4%減となっている。
▼産業別では卸売業・小売業の新規求人が前年同月比▲17.2%と示され、求人の出し方も難化しやすい局面が続いている。言うまでもないが、求人が減っているのは採用が楽になったからではなく、賃金上昇で採用単価が上がる面、採っても定着しない現状、求人を出し続ける体力が削られるという“採用の難しさの質”が変わり始めたことのようだ。対応は「採用強化」だけでは済まず、省人化投資+標準運用+人時の再配分が経営上の重要視点となって来た。
▼政府も昨年6月に「省力化投資促進プラン(小売業)」(農林水産省・経済産業省)を公表し、政策的にも後押しを明確化している。ここでは、2029年度の名目労働生産性目標を2024年度比で28%増とし、小売業で活用可能な中小企業省力化投資補助金、IT導入補助金や、生産性向上への支援を含む「賃上げ」支援助成金パッケージ等の積極活用の促進。IT導入、外注、協働、人的投資等の省力化に資する取組に関するきめ細やかな事例集の作成や業界団体とも連携した情報共有体制や説明会、セミナー等の開催、業界紙等広報チャネルの活用により優良事例の情報提供・横展開実施の計画が発表されている。(つづく)
2026/01/12
