事業計画作成に必要な発想方法だが・・・

事業計画作成に必要な発想方法だが、大きく「現状分析先行型(フォーキャスティング)」と「ビジョン先行型(バックキャスティング)」の二つがある。両者は対立する発想法ではなく役割が異なり、組み合わせることで計画の質が上がるものになる。食品スーパーの現場では、過去~現在の事実(市場規模、顧客行動、競合、自社の資源・制約、収益構造)を分解し、トレンドを延長して将来を見立て、実行可能な施策と数値計画に落とす方法を採ることが多かった。

▼これが、現状分析先行型(フォーキャスティング)で、強みは根拠が明確で、投資判断やKPI設計(客数×客単価、粗利、ロス、人時、販管費など)に直結し、社内合意が取りやすい点になる。活用の仕方は、① 市場・顧客・競合・自社を構造化し、② 変化の要因(人口、物価、賃金、物流、気候、技術)を特定したうえで、③ ベース/上振れ/下振れのシナリオで見立てる。これを④ KPIツリーで因果をつなぎ、施策を数字に変換、⑤ 投資回収と月次KPIで管理するのが定石になる。ただ、「延長線の最適化」に偏り、差別化や変化対応への耐性が弱くなる。

▼一方、ビジョン先行型(バックキャスティング)は、まず「数年後にどうありたいか(誰に、どんな価値で、何者として選ばれるか)」という到達像を定め、そこから逆算して必要な能力・仕組み・投資・人材を設計する方法になる。強みは、現状に縛られず独自性や挑戦が生まれ、変化の大きい環境でも進む方向がぶれにくい点だ。活用の仕方は、① 5年後の提供価値と差別化を言語化し、② 到達条件を指標化(例:会員比率、惣菜構成、PB比率、人時生産性、物流コスト等)した上で、③ 現状とのギャップを棚卸し、④ ギャップを埋める重点施策3~5本に絞り展開することになる。

▼勿論、⑤ 1~3年のロードマップと前提が崩れた場合の代替策を置くことも必要になる。気をつけなくてはならないのは、理想が先行して実行可能性や数字が弱くなることにある。実務では、バックキャスティングで方向と差別化を決め、フォーキャスティングで展開する体制づくりと数字を固めるという二段構えが最も強力になるだろう。新規事業や変革テーマは前者を厚めに、既存改善や投資案件は後者を厚めにすると、夢と現実が両立した事業計画になるはずだ。このプログラムの「新規事業提案(ビジネスプラン)」では、どこに重点をおいた発想方法が採られるか楽しみでもある。

2026/01/21