米国の富裕層は、「5番街」をスマホで呼び寄せている・・・

日本の百貨店だが、2月度の業績発表を見ると、インバウンドの苦戦は継続しているが、国内客は富裕層を中心に高伸長、全体としても概ね好調の様子だ。インバウンドは中国政府による日本への渡航自粛要請を主因に、中国客の売上が3~6割減少し苦戦中のことだが、特に昨年の2月は旧正月休暇もあり影響があったようだ。ただ、インバウンドも中国以外、台湾、韓国、タイを中心とした東南アジア、欧米等は好調の様子。これらから、3月は土曜が1日少なく、既存店影響もある程度はみられるが、今後の見通しを見極める上で注目されている。

▼大手百貨店4社の既存店売上は▲0.2%~6.3%増(1月は0.7増~7.4%増であり、国内顧客向けが4.4%増~8.8%増(同6.7%~12.0%増)、インバウンドが▲22.3%~▲6.8%%(同▲18.9%~▲15.1%)であった。国内客売上だが、初売りやラグジュアリーブランドの値上げ前の駆け込みがあった1月に比べやや落ち着きがみられるが、高額品消費を中心に力強さがあるようだ。株価や不動産価格上昇による資産効果が一因とみられる。外商顧客などの富裕層や、ボリュームゾーンであるアッパーミドル層の需要が好調。なお、航空機減便等で関西立地の店舗が中国客減少の影響を受けているようだ。

▼ところで、米国の高級百貨店の動きが激しさを増している。「Saks Global」だが、経営再建の一環として「Saks Fifth Avenue」など15店舗の追加閉鎖を発表した。対象は、Saks Fifth Avenue12店舗と「Neiman Marcus」3店舗であるが、高級百貨店のビジネスモデル転換が鮮明になっている。年初に連邦破産法第11条の適用を申請し、約34億ドル(約5100億円)の負債を抱え、再建のために不採算店舗の整理を急いでいるのだが、先月発表された閉鎖計画と合わせると合計24店舗のデパートメントストアが姿を消すことになる。

▼これら店舗売上の約40%は、わずか2%のトップ顧客によって生み出されているという。多くの客に広く売るから、少数の超富裕層に深く売る企業への転換なのだが、米国小売業界では、ラグジュアリーブランドが自社店舗や自社ECを強化し、ブランド自身が顧客と直接つながる時代である。かつては、富裕層にとっての社交の場であり、買物をするだけでなく、売場での接客や空間そのものが価値だったのだが今、状況は大きく変化している。旗艦店の体験価値はまだ残ってはいるものの、日常の買物は既にスマホの中に引っ越したのだ。問題は、店舗施策が悪いというより、買い物の舞台が変わったようだ。

2026/03/09