早稲田大学大学院教授の入山 章栄氏の著書『世界標準の経営理論』(2019年刊行)は、15万部を超えるベストセラーとなっている。その入山 章栄氏が、一度完成したはずの「世界標準の経営理論」をダイヤモンド・ハーバードビジネスレビュー(DHBR)誌25年4月号から改めての連載を始めた。連載論文のエッセンスを土曜、日曜日に紹介している。「ポジティブ心理学の理論」の解説をしてきたが、人がポジティブな心理状態にあることは、概ねその人のパフォーマンスにプラスの影響をもたらすことが、多くの理論や実証研究で明らかになっている。
▼日本企業は、ポジティブ性を前提にした施策の本格導入がまだ進んでいない。欧米企業などでは、ポジティブな心理状態を促す施策が進んでいる。科学的な裏づけに基づいているのだ。重要なのは、“人を伸ばす”を仕組みにすることになる。これまで、「PERMAモデル」を解説してきたが、あとの3つを紹介したい。「性格強み理論(VIA分類)」「サイコロジカル・キャピタル(psychological capital)」「アプリシエイティブ・インクワイアリー(appreciative inquiry)」になる。
▼「性格強み理論(VIA分類)」は、先のセリグマンとクリストファー・ピーターソン(ミシガン大学)が提示した理論である。人には6つのポジティブな美徳(virtue)と、それにひもづく24の性格的強み(character strengths)があると主張する。具体的に、VIA分類による6つの美徳と、それにひもづく強みとは以下の通りになる。
① 知恵と知識(wisdom and knowledge):創造性・好奇心・知的柔軟性・向学心・大局観。
② 勇気(courage):勇敢さ・粘り強さ・誠実さ・情熱。
③ 人間性(humanity):親切心・愛情・社会知性。
④ 正義(justice):公平さ・リーダーシップ・チームワーク。
⑤ 節度(temperance):寛容さ・思慮深さ・慎み深さ・自律心。
⑥ 超越性(transcendence):感謝・希望・審美眼・ユーモア・スピリチュアリティ。
▼人は24の強みを程度の差はあるのだが、誰しもが持っており、その組み合わせが個人の「強みのプロフィール」となる。強みのプロフィールを知るため「VIA強み診断テスト」も開発されている。ただ、このVIA分類は、生まれながらの特性に関する分類であり、後天的にトレーニングなどで変化させるのは容易ではない。それに対して「psychological capital」は、トレーニング・研修などによって、自己的に向上が可能なのが大きな特徴である。(つづく)
2026/03/14
