日本の人手不足は恒常的なものになり、完全雇用に近い状態が続いているのだが、最近の「有効求人倍率」には一服感も見られる。賃上げや時給アップなどで人件費の上昇に耐えきれず求人を絞っていることが影響しているようだが、省力化やAIへの設備投資が進んでいることも大きい。小売業では、パート・アルバイトの求人数の前年割れが続いている。ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「都心の一部の店舗を除き、人手不足で店が回らない状態は緩和されている」と述べているように、やや人手不足感が緩和されている。
▼労働人口を増やせる要因のひとつが外国人労働者の雇用拡大だ。厚生労働省は、昨年の国内の外国人労働者が257万人強(前年より約27万人増)になったと発表した。増加率は11.7%で、3年連続で10%を超え、全雇用者数の約4%を占める。産業別の増加率では医療福祉がトップで、宿泊・飲食サービス業、建設業が続き、人口減少が深刻な地方での外国人依存度が高まっている。特定技能や技能実習生として外国人を雇用できる業種は16分野あり、外食や飲食料品製造などは該当するが、物品販売は対象外になっている。
▼小売業は外国人に頼らない(留学生アルバイトは除く)人手不足対策に取り組んでいる。賃上げや処遇改善を進めると同時に、DXを活用した省力化対策に力を入れているのだ。DX推進は作業時間と人時の削減に効果が出ている。これまで手作業で行っていた受発注などの業務を自動化することやセルフレジの導入で、作業時間を大幅に短縮できている。また、手作業によるヒューマンエラーの防止にもつながる。単純作業や定型業務をデジタル技術に任せることで、結果的に従業員をより付加価値の高い業務への配置転換も進みだした。
▼業界誌に「イオンリテール」のAI活用での業務効率化、人時の削減の様子が掲載されていた。惣菜の見切りをAIが指示する「AIカカク」を導入、値引き率やロスおよび作業量の削減に効果を見極めて他部門へ拡大をはじめ、「AIワーク」では、AIが最適な勤務計画を策定。時間ごとに、レジ、品出しなど業務を自動的に割り当てる。「AIオーダー」は過去の実績、曜日特性、催事、天候要因などから客数と発注数を割り出しての自動発注。これにより発注業務を半減できたとある。また、「フルセルフレジ」導入店でのレジ効率は約30%改善したようだ。単なる省人化にとどまらず、AIが従業員をサポートする未来の小売業のモデル構築が始まっている。
2026/04/02
