「売場も、価格も、惣菜も、PB商品も、ECも、アプリも、全部大事」と言っている会社は、一見バランスが良いようだが、実は重点がない可能性が高い。経済週刊誌が“「パナソニック」の迷走”を取りあげる特集掲載が続いている。“パナソニックの迷走”とある記事の論点は、失敗のことではなく、選ばないこと、捨てないこと、集中しないことが長く続いた状態である事のようだ。食品スーパーで言えば、“地域密着と言いながら、実は何に集中する会社なのかが曖昧になっていないか”を問われている感じがする。
▼パナソニックの迷走の本質は、個々の事業の弱さそのものではなく、長年にわたる“事業ポートフォリオの整理の遅れ”と“勝ち筋の明確化不足”なのだ。パナソニック自身も、固定費構造の見直し、収益性改善、事業ポートフォリオ管理の加速を経営改革の中心に置き、2027年度までに2025年度比で1,500億円以上の利益改善、ROE10%以上、調整後営業利益率10%以上を目標に掲げている。さらに新たなグループ体制への移行など、会社自身が「抜本的な組み替えが必要な状態」にあったことを示している。
▼「迷走」と見られるのは、① 多角化の幅に対して、経営資源配分のメリハリが弱かったこと、② 技術はあるが、市場での勝ち方が曖昧という問題で、どの市場で、どの顧客に、どんな収益モデルで勝つのかが明確でないこと、③ 過去の成功体験への依存で、総合家電メーカーとしての強さが、逆に事業撤退や再定義を遅らせた可能性がある。そして④ 構造改革の先送りを意味している。改革は痛みを伴うので、業績がまだ持っている間は後回しになる。しかし後手になると、平時の改革ではなく危機対応になるという面であろう。
▼パナソニックの迷走は、環境変化への対応力不足というより、経営として“選ぶこと・捨てること・集中すること”を十分に徹底できなかったことにあるので、普遍的な経営論点としての議論展開をしたら良いと思う。論点は、① 何が迷走なのか。事業が多すぎたのか、強みの定義が曖昧だったのか、家電の成功体験を引きずったのか。② なぜ整理できなかったのか。売上規模・雇用・歴史・ブランド・社内政治が、撤退判断を遅らせたのではないか。③ 再生の鍵は何か。全部を持つ経営から、「勝てる領域に資源を寄せる経営」へ移れるかになるだろう。
食品スーパーも、ここを自社への翻訳につなげ、何を捨て、何に張るかが曖昧なまま、総花的に手を広げてはいないかを議論する事だ。「自社は本当に勝ち筋へ資源集中できているか」を確認しておきたい。
2026/04/10
