Amazonの動向だが、AmazonのCEO兼社長のAndrew R. Jassy氏が9日に公開した株主向け書簡のなかで、AIが単なる新機能ではなく、すべての顧客体験を再構築する乗数であると述べている。膨大な品揃え、低価格、超高速配送、使いやすさといった顧客の根本的なニーズは変わらない。しかし、顧客が小売業者とやり取りするインターフェースは、AIの登場によって劇的に変化すると予測している。この技術革新を「一生に一度の機会」と断言して、手加減なしの猛攻を仕掛ける姿勢を鮮明にしたのだ。
▼Amazonは2026年の設備投資としておよそ2000億ドル(約30兆円)を予定しており、その大半がAI開発とデータセンターなどのインフラに向けられる。この設備投資規模だが、AWSのAI関連収益は、第1四半期で既に年換算150億ドルという驚異的なペースに達しているし、「Trainium」や「Graviton」の自社製AIチップビジネス単体でも年換算200億ドル以上の収益を上げており、将来的にサードパーティへの直接販売を見越せば500億ドル規模のビジネスになる可能性があることを考えれば妥当な金額だ。
▼現在、小売ビジネスは売上高6000億ドル(約90兆円)に迫る規模に成長している。Jassy氏は「世界の小売売上高の約80%は依然として実店舗で行われている。それは変わるだろう」と述べ、いまだに巨大な未開拓市場が存在することを強調している。この実店舗の牙城を崩すため、Amazonは配送の超高速化と地方市場の開拓に巨額の資金を注ぎ込んでいる。配送ネットワーク拡充には40億ドルを投資し、競合他社がコストを理由に撤退する中で、逆に地方の顧客を力強く奪いに行っているのだ。
▼アマゾンの成長は一直線ではない。グローサリー戦略は、20年前に保存食などの日用品販売から始まり、顧客の強い要望を受けて生鮮食品へと踏み切り、2017年のWhole Foods買収以降、Amazon・Freshの展開やプライム会員向けの定期購入など、数え切れないほどの実験と失敗を重ねて貴重な教訓を学んできた。そして最大のブレイクスルーは、生鮮食品を「当日配送ネットワーク」に組み込むことであった。2025年初頭の導入以来、生鮮品の売上は40倍以上にも急増した。最新鋭の技術と物流網という巨大エンジンで、全米2,300以上の都市へ次々とはめ込み、2025年の食品売上高は1,500億ドルを突破、アマゾンは全米第2位の食品小売業者へと躍進して来た。
この書簡、今後の米国小売業の行方を占う上で極めて重要なメッセージを含んでいる。
2026/04/24
