小売業新入社員との情報共有・・・②

(昨日のつづき)「セブン&アイHD」は昨年7月にカナダの「AlimentationCouche-Tard」が買収提案を撤回し、単独で企業価値の向上をめざすことになった。コア事業であるセブン‐イレブン・ジャパンは成長が停滞気味であるものの、売上高はコンビニエンスストア業界でトップの座に変わりがない。その事が、今後の成長のストーリーが見えにくく、そのハードルは高い。CVS市場は、トライアルの「TRIALGO」や「まいばすけっと」など、SMの小型店舗に浸食されつつある。5~10年後を見据えた道筋が明確にならなければ、今後のさらなる成長は難しそうだ。

▼直近の動向で興味深いのが、「バローHD」と、ホームセンターの「コーナン商事」の資本業務提携だ。26年2月、コーナン商事はバローHDと資本業務提携を締結。バローHD傘下の「アレンザホールディングス」に対しTOB(株式公開買い付け)を実施、4月6日付で持分法適用会社化した。通常、小売業では「自社の強みにフォーカスする」という考え方が一般的であり、業態の枠組みを超えた展開はめったに起きない。バローHDとコーナン商事の提携は、業態の枠組みを超える動きがどのような価値を生み出すのか、今後の展開が注目される。同じように、1月に包括的協業の開始を発表した「トライアル」と「スギホールディングス」の事例も例外的な動きといえる。デジタル領域に強い会社同士なので、データ活用のねらいが目的か。

▼一方で、小売業界では持株会社体制への移行も見られた。各社が淘汰される側ではなく、再編を主導する側に回ろうとする動きが進んでいる。昨年10月には、「ヤオコー」と「マミーマート」が持株会社体制へ移行した。そのうちヤオコーは、それまで親会社として、「エイヴイ」、「フーコット」などの子会社を傘下に擁していたが、「ブルーゾーンホールディングス」を持株会社として、その傘下に新設する事業会社のヤオコーと既存子会社がぶら下がる体制に改めた。その後、「文化堂」と「デライトホールディングス」の2社を子会社化している。こうした体制は、強い統制を伴わないため、各企業の独立性を維持しながら連携することができる。とくにローカルの食品スーパーにとっては参画しやすい枠組みである。ただ、シナジーの具体像は見えにくい。

▼企業の再編においては、必ずしもシナジーを創出する必要はない。志を同じくする企業同士が緩やかにつながり、その価値を足し算で積み上げるアプローチもあるのだろうが、企業の再編には、成果としてどれだけ顧客価値を高められるかの追求が必要になる。購買体験を通じて顧客が再編の効果を実感できなければ、その意義は薄いものになってしまうはずだ。MDの質の向上や品揃えの拡充、本部コストの削減を原資とした価格競争力の強化など、具体的なかたちで顧客に還元していくことが重要だ。

新入社員教育の一環で、情報共有の場として用意されたものだが、少し頭でっかちの感は否めない。新入社員として、現場に立った時の夢を実現にするための内容にしたかったが、時代の変化なのだろうか。50年以上の時の流れはあるが、同じような場で「商品の値札貼りと品出しをスピーディにするには」について質問したこと思い出した。

2026/05/14