日本の小売業が学び取らねばならないこと・・・②

(昨日からのつづき)
5. 都市型小型店と大型店は別の論理で設計する
ニューヨークでは、Whole Foods Daily Shopのような小型店、Wegmans Astor Placeのような大型都市型店舗、Trader Joe’sのような高回転型店舗、H Martのような食文化特化型店舗が共存している。米国小売業が「一つの標準フォーマットで全市場を攻略する」段階を超えていることを示している事例だ。日本のSMも、住宅地型、駅前型、都市小型、郊外大型、ディスカウント型、高質型、即食特化型、高齢者対応型を同じ基準で評価してはいけない。重要なのは、フォーマットごとに、商圏、来店頻度、買上点数、惣菜比率、価格政策、人員配置、物流頻度、デジタル接点を変えることだ。

6. オムニチャネルはEC導入ではなく、顧客接点の統合である
米国小売業では、EC、アプリ、店舗、配送、ピックアップ、会員制度、リテールメディアが統合されつつある。NRFは2025年の小売予測で、AIが顧客理解、購買予測、在庫最適化、商品開発などに使われると指摘している。日本のSMが学ぶべきことは、ネットスーパーを単独事業として見るのではなく、顧客を知るための接点、来店前後の関係を作る接点、店舗の価値を高める接点として位置づけることだ。赤字事業か黒字事業かだけで判断するのではなく、顧客の生活を理解し、次の買物を助ける仕組みとして設計する必要がある。

7. 地域密着は「地元商品を置くこと」だけではない
米国の地域密着は、米国では、地域とは単なる行政区域ではなく、所得階層、民族、食文化、ライフスタイル、健康意識、宗教、価値観によって分かれる。ニューヨークでH Mart、Whole Foods、Trader Joe’s、Wegmans、Costco、Aldiを比較すると、同じ都市圏にありながら、想定顧客が大きく異なることが分かる。日本のSMも、地域密着を「地場野菜」「地元メーカー」「地産地消」だけに限定するのではなく、物理的な地域密着と、生活価値観への密着の両方が必要なのだ。同じ市内でも、高齢単身者の地域、子育て世帯の地域、共働き世帯の地域、外国人住民の多い地域、所得の高い地域、節約志向の強い地域では、必要なSMは異なるはずだ。

8. 競争相手をSMだけに限定してはいけない
米国では、食品支出を奪い合う相手はSMだけではなく、Walmart、Costco、Amazon、Dollar General、Target、CVS、Walgreens、レストラン、デリバリー、ミールキット、ファーマーズマーケット、エスニック店がすべて競争相手になる。日本でも同じだが、戦いのレベルが異なる。ドラッグストア、ディスカウントストア、コンビニ、外食、中食、EC、宅配、冷凍食品専門店、無人販売、道の駅などとの戦いはますます激しさを増すであろう。顧客の食費、時間、健康、楽しさ、手間を誰が奪っているかという視点で競争相手を見る必要がある。

2026/06/03