6月5日、「ヤマダホールディングス」と「エディオン」は、持株会社方式による経営統合に向けた基本合意書を締結したと発表した。予定では、2027年10月1日に共同持株会社を設立し、ヤマダHDとエディオンをその完全子会社とする方針だ。統合後の単純合算規模は、店舗数がFCを含めて全国9,954店舗、連結売上高が約2.5兆円、従業員数が35,895人、会員数が3,608万人超とされている。ただ、2027年5〜6月に最終契約・統合比率決定、2027年6月に両社株主総会、2027年10月1日に効力発生の予定で、競争法上の審査や協議の進捗によって変更・中止の可能性も明記されている。
▼両社が挙げている背景は、① 少子高齢化・人口減少によって、家電市場の自然成長が見込みにくくなっていること。② オンライン販売、通販、異業種参入によって、家電量販店の競争相手が同業だけではなくなったこと。③ エネルギー価格、人件費、建設費などのコスト上昇により、従来型の大型店モデルだけでは収益性を維持しにくくなっていることとあり明確だ。かつての家電量販店モデルは「大量仕入れ・大量販売・価格訴求」であったが、今はそれだけでは限界があり、単に安く売るだけでなく、設置、修理、リフォーム、住宅、見守り、エネルギー、デジタル支援まで含めた暮らしの解決業にならなければならなくなっているのだ。
▼それでも、 統合の第一の狙いは、規模の経済であろう。そして第二の狙いは、顧客基盤とデータの活用。ヤマダには3,100万人超のアプリ会員、エディオンにはエディオンカード会員508万人、あんしん保証カード会員941万人、アプリ1,500万ダウンロード超という顧客接点があり、これらを活用すれば、家電購入履歴、保証、修理、リフォーム、住まい関連ニーズをつなげた提案が可能になる。第三の狙いは、PB・SPA商品の開発力強化。第四の狙いは、住建・リフォーム領域の強化であり、ヤマダはすでに「くらし」領域を広げており、エディオンもリフォーム・住宅メンテナンスに力を入れている。単なる家電販売ではなく「くらし」を軸にした事業領域拡大が強調されそうだ。
▼この統合の意味は、家電量販店が“家電を売る店”から、生活の設備・サービス・データを持つ企業へ転換することにある。家電は買い替え頻度が低く、人口減少下では市場が大きく伸びにくい商品だが、エアコン、給湯、太陽光、蓄電池、リフォーム、通信、見守り、修理、保証、配送設置などを束ねれば、顧客との関係は長期の生活接点になりえる。「家電を売る」から「住まいと暮らしの困りごとを解決する」への転換になる。食品スーパーでの「食品を売る店」から「日々の食生活を支える」へ進化することに近いのだろう。この経営統合から小売業の方向感を整理し、課題を考え学ぶべきことを明確にしておきたい。
2026/06/09
