
ダラス・フォートワース(DFW)都市圏で猛攻を続けるHEB 写真:後藤文俊氏
「テキサス州に地盤を置く食品スーパーの「H-E-B」(エイチ・イー・バット)もネットスーパー投資で躍進する」との記事がアメリカン流通コンサルタントの後藤文俊氏のブログにあった。テキサス州を中心に、メキシコでも店舗展開しており、店舗数はおよそ455店舗、従業員は約175,000人にのぼる非上場の企業だ。店舗展開は、テキサスとメキシコに絞り込んでいるのだが、米国内上位クラスであり、スーパーマーケットニュース誌の『2026 Super50』でも3位に入っている。掲載記事は、ダラス・フォートワース(DFW)都市圏で急速に勢力を拡大している様子を、最新店の開業と競合環境の変化からレポートしたものだ。
▼アーヴィングのラス・コリナス地区に、約3,340坪、総工費約57億円の大型店を開業した。かつて大型家電量販店「フライズ・エレクトロニクス」が存在した場所の近くであり、EC対応に遅れて凋落したフライズと、ネットスーパー投資で躍進するH-E-Bの対比が書かれている。この新店は、単なる大型食品スーパーではない。店内には本格バーベキューレストラン「トゥルー・テキサスBBQ」が併設され、店内飲食だけでなくドライブスルーにも対応する。さらに、寿司部門「Sushiya」、テキサス産オーガニック青果、焼き立てトルティーヤ、クラフトビールやワインなど、地域性と食の楽しさを組み合わせた売場が充実している。
▼店内の大きなサインやご当地ロールなど、随所に「テキサス・プライド」を刺激する仕掛けがあり、H-E-Bは単なる買物の場ではなく、「おらが州の店」として地域住民の支持を獲得している。H-E-Bは2022年のフリスコ店を皮切りに、プレイノ、マッキニー、アレン、アライアンス、マンズフィールドなど、DFW都市圏に大型店を次々と出店してきた。出店発表だけで周辺住宅需要や商業集積が高まる「H-E-B効果」まで生んでおり、食品スーパーが地域開発の核になるほどの影響力を持っている点が注目される。

店内に設けられた「トゥルー・テキサスBBQ」
▼記事の最大の示唆は、リアル店舗とデジタル対応の融合である。H-E-Bの新店には、ネット注文用のピッキングエリアや広大なカーブサイド・ピックアップ専用スペースが組み込まれている。猛暑のテキサスでは、車から降りずに商品を受け取れる利便性が大きな競争力になる。一方で、店内にはBBQの匂い、調理実演、寿司、地元色の強い演出があり、思わず入店したくなる魅力も備えている。H-E-Bの強さは「地域密着」「複数フォーマット」「食の体験価値」「ネットスーパー投資」を同時に実現している点にある。EC対応に遅れたフライズが沈んだのに対し、HEBはリアルの楽しさとデジタルの便利さを融合させ、地域生活の中心として進化しているとの記事内容だ。
店舗を単なる販売拠点ではなく、地域性・体験・利便性・物流機能を兼ね備えた生活インフラへ進化させる必要性を示す事例である。

カーブサイド・ピックアップ専用レーンとデリバリーカー
2026/06/10
