経営トップの後継者問題など・・・

長引くインフレに伴う原材料価格の高騰に加え、人件費、物流費、エネルギーコスト、さらには食品トレーなどの消耗品に至るまで、コスト上昇の影響が直撃している。食品スーパーを取り巻く経営環境は、かつてない厳しさだ。競争も激化の一途をたどる。ロピアやトライアルホールディングスといった価格訴求力を強みとするディスカウンターが、全国へと勢力を拡大している。コーネル大学RMPジャパンの講義の中でも、食品スーパーが抱える構造的課題、急激な人口減少と加速度的に進む高齢化、さらにはDXや出店投資に向けた原資をいかに捻出するかなどに加え、経営トップの後継者問題などが話される。

 ▼これまでと違った抜本的な戦略転換を図れる土壌をつくれるかがポイントになるが、各地の元気な食品スーパーの動きが良い。原動力の大きなひとつが経営トップの「若返り」だ。福岡県を中心に店舗を展開する「ハローデイ」もそのひとつ。ディスカウンター勢が強い九州において、「買物の楽しさ」を追求した店づくりで支持を集めてきた企業だが、同社を長年率いてきた加治敬通前社長が急逝し、長男の加治豊祥氏が27歳でバトンを受け、新たな成長フェーズに導こうとしている。新たに打ち出した経営方針は「リブランディング」と「SPA化の加速」という。私事だが、加治敬通前社長には本当にお世話になった。

 ▼「ハローデイ」はかつて日本一見学者の多いスーパーといわれた。創業者は加治久典氏。しかし、従来型のスタイルをすっかり変え、新しい高質スタイルに転換した第二の創業者は創業者の長男、敬通氏だ。その彼が、昨年12月に61歳の若さで逝去されたのだ。ハローデイの前身「かじや」は安売り主体の食品スーパーであったが、競争の中で業績は低迷を続け、地場大手の寿屋との提携で再起を模索したが袂を分かち、独自路線に戻った。この年に名称を「ハローデイ」に変更し、アミューズメントフードホールという視点で店舗づくりに乗り出している。

▼加地氏は「感動」という言葉が好きだった。また、「真似て、真似て、真似尽くし、やがて追い越す」も口ぐせだった。ある年、米国の「Wegmans」を見てそんな店を作りたいと部下が言えば「どうぞ」という姿勢でそれを許した。彼は自分の思いを制御しながら、有能な部下の力を引き出す経営者だった。そして、常に挑戦する嵐が渦巻いていたので、その決断力と価値観は他の人とは全く違った。特別な店舗の、特別な運営の成功、失敗はトップの情熱次第だと言える。加治豊祥社長が、抜本的な戦略転換を図れる土壌づくりに邁進して頂きたい。

2026/07/20